今回は、山形市内の、山奥にある蕎麦屋に行って来た。
東北芸術工科大学の横の道を、山へ入っていく。
車でひたすら、山へ入っていく。
小雨が降る中、山へ入っていく。
山形駅から、車で30分くらい。
敷地内の駐車場に車を止め、さくらんぼの木の横を通る。
その奥には、古くから続く旧家の雰囲気を漂わせる、大きな建物が現れる。
その横には、手入れが行き届いた、大きな庭園が広がる。
降っていた小雨もやみ、雲の隙間からのぞく太陽の日が、気持ちが良かった。
畳に腰を下ろし、お茶を飲み一服する。
木々が風にたなびく音、虫のさえずり、そして、そばを切る音と、そばを啜る音が、気持ちよく、心を落ち着かせる。
待っている時間も、気持ちがよかった。
屋敷内から庭を眺め、そばを啜る。
美味い。
山菜のてんぷらも美味かった。
近くの山で取れた、新鮮なものだからだろう、歯ごたえがしっかりしていた。
隣では、おじいちゃんたちが昼間から、そばを啜り、山菜のてんぷらを食いながら、日本酒を冷で、「くいっ」っと美味しそうに呑んでいた。
奥に見える、新緑の薄い緑と、針葉樹の濃い緑が混ざり合った、豊かな景色の中での、酒は、一段と美味いだろう。
僕も呑みたくなった。
帰り道、雨上がりで、きらきら光ってきれいな棚田を見ながら、街へ帰った。
(文・写真:黒田良太)