第13話 We are the Champions

(このコラムはしばらくの間、過去振り返り形式でお届けします)

10月中旬
気持ちのいい秋晴れです。

いよいよやってきました。大収穫祭 秋の陣!
今日は「ラ・フランス」の収穫です。

013_01.jpg 爽やかな晴天。。実りの秋真っ盛り!

思えば、このブログを書き始めてから、ラ・フランスのネタが一番多かった気もしますが、
別にラ・フランスが一番と思ってるわけじゃありません。リンゴもサクランボも愛してます。

013_02.jpg いよいよ、ラフランスの収穫!

天童は、ラ・フランスの生産量日本一。
水戸農園でも生産面積の約2割がラ・フランスです。

おいしいラ・フランスを作るために、収穫までにさまざまな管理作業をしてきました。

・2月 冬期剪定作業(一年間に伸びた余計な枝を整枝、剪定する)
・3月~4月 摘蕾(花芽を適当な量に摘み取る)、開花後に摘花(花を適量に摘み取る)
・5月 摘果(一つの花そうに7~8個の果実がつき、1個を残して摘み取る)
・6月~7月 仕上げ摘果、徒長枝整理(今年はこの辺から私が引継ぎました 3話参照

この間に合計15回前後の防除散布(消毒)や、除草や、灌水(水かけ)など、厳寒の冬から酷暑の夏を過ぎ晩秋の収穫まで、ほとんど暇なしの作業でした。

ようやく果実が大きく実る8月~9月は台風の時期。
手をかけ経費をかけ、ここまできて台風被害で落果しようものなら目もあてられません・・・。
天気予報で南海上に新しい台風が発生する度に、ハラハラ心配していました。

10月の収穫まで、日照りのときは干ばつを心配し、雨のときは台風を心配し、サムサノ夏ハオロオロアルキ、ミンナニデクノボートヨバレ・・・まさに「雨ニモマケズ」の心境。。

そしてついに今年も、なんとか台風の被害も免れ、待望の収穫を迎えました!
こうしていろんな作業の苦労を振り返ると、昔の人が収穫を祝って祭りをひらき、踊ったり歌ったりした気持ちも理解できます。

013_03.jpg 発見!これが大玉チャンピョンだ!!

今年の当園の大玉チャンピョンは、なんと 660グラム!(赤ん坊の頭くらいの大きさ)
一般的に市場に出回るサイズでは4L位(400グラム位)が最大級です。660グラムというと、もはや規格外なので正確なサイズ表記ができませんが、8Lとか9Lというサイズか?

これだけの大玉チャンピョンともなれば、どんだけの金額がつくんだ?
と、思いますよね?
ところが、こういう規格外品は箱もなく販路もないので出荷も販売もしません。味は全く遜色なく美味しいんですが。結局、自宅に持ち帰って父の仏前にお供え。

マグロじゃないんだからデカきゃいいってものではないんです。

013_04.jpg 我が家ではラ・フランスは一斉収穫。ガラもぎです!

ラ・フランスは、追熟が必要なくだもので、畑で収穫されてから、みなさんのお口に入るまでに約1ヶ月くらいの時間がかかります。

ラ・フランス、メロン、バナナなど、一部の果物は収穫後、一定期間置くことで甘さを増したり果肉を柔らかくしたりして、より美味しい状態で販売されます。これを人工的に処理することを追熟といいます。

そして、果実をより均一的に追熟させるための準備として、収穫後、全ての果実をまとめて冷蔵庫に入れて低温処理(3~5℃で7~14日間保存)する作業を予冷といいます。

追熟に先立って予冷処理を行うことにより、予冷期間中に果実内でエチレン生成が整い、冷蔵庫から出して常温(10~15℃)にさらすことで一斉に追熟が進行するという技術。
・・・らしい。(これ以上の専門的なことは勘弁して下さい。兼業ですので。。)

ラ・フランスの生産量日本一を誇る JAてんどうでは、果実の成長状態と販売時期から逆算して、生産者に一斉に収穫を促すため「予冷受け入れ期間」を設定されます。今年の受け入れ期間は、10月14日~20日までの7日間。これを過ぎるとJAには出荷できません。

短期間の勝負です!
今回も、全く一方的な個人的理由によって、土日を挟んで5日間、会社から休みをとり、毎日朝5:30~夕方6:30までみっちり12時間労働の収穫作業。

ハケゴに収穫して、畑で一つ一つの果実をサイズ分けしながら傷や痛みがないかをチェック(選果)し、コンテナに入れ替える。そして選果後、トラックに積んでJAへ出荷。

収穫 → 選果 → JAへ出荷。
収穫 → 選果 → JAへ出荷。
収穫 → 選果 → JAへ出荷。
・・・という作業が延々と繰り返されます。

013_05.jpg 畑の奥から運搬機で運んで、トラックへ積み込んで、
013_06.jpg 行け!トラック1号!出荷たのんだぞ!・・・っても自動的に走る訳はなく、自分が運転ですけど

ラ・フランスはリンゴよりも果実あたりの水分量が多いのか?容積比重が重い?
とにかく、同じコンテナを使っても1コンテナあたりの重量が重いのです。
1ケース、リンゴは17~18kgですが、ラ・フランスは19~20kgにもなります。

トラックに40ケース積み込んでJAてんどうフルーツセンターへ出荷。
多い日は一日4回(160ケース)の出荷。合計3トン以上、ほとんど一人で積み下ろし。

・・・また・・・腰が・・・。

それでも、延べ5日間、家族総出でなんとか収穫と出荷を終えました。
合計 約600ケース(約11トン)。内「スーパーラフ」規格の出荷が360ケース(約7トン)。

えっ?「スーパーラフ」って?・・・それはまた、次回。


つづく

このブログについて

山形R不動産仲介担当の水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?

著者紹介

水戸靖宏(千歳不動産株式会社常務取締役)
山形R不動産における不動産仲介業務担当