第4話 偶然の出会い

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僕たちは見つけた空き物件に対して、いろんな使い方の提案をしていた。その中でも、街中の空洞化を解決するのに重要だと思っていたのが、「街に住むことを復活させる」だった。
この旅館の使い方提案はその「街に住むことを復活させる」ための提案だった。現実的な提案だったのもあって、結構思い入れはあった。
でも、そのときは本当に実際につくるなんて考えてもいなかった。

とまぁ、いろいろな使い方提案を考えていたある日、馬場先生がまちつくりを考える勉強会にアドバイザーのような形で御呼ばれした。それを聞いた僕は、それにくっついて行った。
なぜ、それにくっついて行ったか。そこには僕の思惑があった。
まちつくりの勉強会なんだし、山形R不動産のことを話したら、街の人は興味を持つんじゃないかと思っていたからだ。
勉強会の終わり間際に、まだまだ作成途中だった山形R不動産のプレゼンを行った。
街の人の反応はというと、想像以上の食いつきで、食い入るように聞いてくれた。
「山形R不動産とは何なのか。」
「どんなことをしているのか。」
そんなことを話した後に、見つけた空き物件の新しい使い方提案を紹介した。

こんな物件を、「住居と店舗が混ざった使い方をしたらどうか」とか、


この物件を、「アーティストのためのアトリエと住居にしたらどうか」とか、あらぬ妄想を紹介していた。
その中に、あの旅館の使い方提案も入っていた。
スライドが、その旅館の写真に変わった途端、ある人がこう言った。

「あれ?この物件、俺の幼馴染の物件だよ。これ、使いたいの?」

「え?」
僕らはあっけにとられていた。というかそこらへんからテンションが上がっちゃって、どんな会話をしたか覚えていない。覚えているのは、「明日オーナーさんに電話して話をしとくよ。」と言われ、名刺交換をしたこと。

次の日の朝、本当に話をしてくれたようで、「詳しいことを説明してあげて。」という内容の電話があった。旅館のオーナーさんの電話番号を教えていただき、すぐにオーナーさんに電話をし、いろいろと話をした。電話だったのでうまく伝わらなかった。それでもとりあえず来週会って、もう少し詳しい話をしようということになった。

あっという間だった。あっという間に、旅館のオーナーさんとつながった。
いくつもの偶然が重なった奇跡に近い話だと思った。


と言うことで僕たちは、次の週にオーナーさんと会いにまちに行くことになった。

(文:黒田良太)

コメント(1)

隣でのブログでは、コメントありがとうございました。
うれしかったです。

黒田さんの方のプロジェクト、
なんとなく波に乗った感じでよかったですね。

僕が思うに、物件が決まれば、
そのまちの資質をみていくことが必要なのかなと思います。
ここに暮らしていてどういったところが他と違い楽しいか。
コンセプトは、どんなことでも可能だと思うけど、
それがこの場所に合っているかどうかを見ることが、
簡単なようで難しいところだと思います。

最終的には直感が大事!だとは思いますが。

あと、二枚目の写真が見れないの残念ですが。