第6話 Blackbird
2011年8月中旬
山形R不動産の仲介担当、よりも、今のところ農業にウェイトが傾きつつある 水戸です。
前5話まではつい力が入って、「文章が長すぎる」という指摘がチラホラ聞こえてきているので、少しゆる目にいこうと思います。
我が家には毎年「ツバメ」がやってきます。
5月ごろ飛んできて、作業小屋の梁に巣を作り、2回くらい出産、子育てをして夏の終わりに巣立って行きます。ここ数十年、ずっと毎年。多いときは2~3家族でやってきて、それぞれがヒナを5~6羽生んだりするので総勢20羽以上のツバメがいることになります。

家賃未払い、騒音、汚損問題の悪質入居者。今年もやって来ました。
この作業小屋では、その時期サクランボの選果や箱詰めや梱包、出荷といろんな作業をするんですが、この期間、ヤツラはずっと頭の上で巣作りしたり飛び回ったりしています。
そうすると・・・問題は、もう おわかりでしょう。 そう。「糞」です。
これ、けっこうキツイ。
これまで、ウチの家族や繁忙期のパートさんなどの中で、頭や体に直撃弾を喰らった人は数知れず。毎年、作業中に犠牲者が。
「ツバメ、なんとかなんないのか? ツバメの巣、撤去して追い出した方がいいんじゃない?」という話になります。
そうすると決まって経営者であった父が
「ツバメは幸福を運んできてくれる縁起がいい鳥なんだぞ。追い出すなんて絶対許さん!」って強制撤去を許しませんでした。
しかも、ツバメが来る時期は留守のときでも作業小屋のシャッター開けっ放しにして、いつ飛んで来てもいいように待ってたりして。
「今年はヒナが5羽生まれたぞ。ツバメちゃんめんこいべ~。」
なんて言ってる始末。。

今年生まれたツバメちゃんたち。巣から出て飛び方の練習してるころ。もうすぐ巣立ちです。
倉庫にリンゴやラフランスを保存してる時は、絶対シャッター締め切ってネズミ捕りなんか仕掛けてるくせに、なんでツバメには優しかったりするんだか。しかも、そんな父が死んじゃったりして、ますます追い出すわけにはいかず、今年も巣立ちまで見守りましたよ。
それにしても、糞害には憤慨です。(← ちょっと恥ずかしい)
一番の被害者は作業後に毎日この倉庫の中で一夜を明かす、初登場! 営農マシーン0号「ライトエーストラック」(最大積載750kg)、通称トラック1号。
この位置に停めてるわけですから、そりゃ~毎日糞だらけ。
寅さん曰く、「結構毛だらけ、ねこ灰だらけ、おし○のまわりはクソだらけ」です。

ここに見えてる巣(二つ)以外にも、右側にあと四つ位あります。

かわいそうなトラック1号ちゃん。・・・写真とってるそばから爆撃を受けてます。
毎朝シャッターを開けるとこんな状態。
「くっそ~!お前ら、何偉そうに人んちの倉庫でウンコしまくってんだ!(怒)」
って心の中で呟きながら見上げると、

お~い、ちゃんと飛べるようになって、来年も帰ってこいよ~。
「はあ? おまえこそ、何人んちの下でウロウロしてんだ?」
っていう顔で見下ろされてるような、つぶらな瞳のツバメちゃん。お~い、ちゃんと飛べるようになって、来年も帰ってこいよ~。
今年は暑かったためか、ツバメたちは8月下旬近くまで旅立たず、毎日毎日半泣きでフロントガラスの糞を拭き取ってから畑に出かけて行くのでした。
つづく

山形R不動産メンバーの水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?

水戸靖宏(山形R不動産/千歳不動産・マルアール代表)
山形R不動産の代表であり、千歳不動産株式会社の代表取締役、そして株式会社マルアールの代表も務め、さらに現役の兼業農家として、ラ・フランスやさくらんぼを栽培。