第62話 Angie

突然ですが、私、今度は会社を立ち上げました。

不動産業に勤務する傍ら、突然、兼業農家になり、「二足のワラジなんて無理。続かないからやめろ。」って周囲から散々言われ続け、はや4年、なんと、三足目のワラジを履いてしまいました。

不動産業、農業、に続いて、今度はリノベーション業(建築業?)。
リノベーションで街を楽しくする会社「株式会社マルール」を6月に設立しました!
しかも、一緒に経営するパートナーは、本家「東京R不動産」の馬場さん、建築家の竹内さん、デザイナーの小板橋さん他、知る人ぞ知る強力メンバー。

これは絶対、面白い仕事になる!とワクワクしつつ、新会社最初のリノベーションプロジェクトに奔走中です。みなさま乞うご期待!!

株式会社マルアールの詳細はこちら → http://maru-r.co.jp


そして、当然、不動産業も兼業農家もやってます。

「一つに集中しろよ!あれもこれもやってるから、お前は中途半端なんだ!!」
って、以前友人に言われた言葉が頭をよぎります。

そして、また、三つ目の仕事を始めてしまっているわけで・・・。

まー、でもー、そうそう思い通りにいかないのが世の中だし・・・。

兼業農家になったのも、自分で望んだわけじゃなく出会い頭の事故みたいなもんだし、マルアールに関しても、素晴らしい仲間たちと出会ってしまったとこから、必然的にやらずにはいられない状況で走り出してしまっているんだよなー。

とにかく、縁があって自分に降りかかってきたことは、拒まずに乗ってしまおう!
「鳴かぬなら○○○○ホトトギス!」に習い、やり方は人それぞれってことで、開き直ることにいたしました。・・・大丈夫でしょうか?


そして、なん〜か、ずいぶんブログを放置しているうちに季節は巡りもう11月。
前回の更新記事の季節に周回遅れで追いつきそうです。

むむむ・・・こうなれば、奥の手で行くしかありません。(か?)

そういうわけで、はい!ここからは、ほぼリアルタイムでいきます。

これまで、突然の兼業農家のはじまりから毎月の作業や出来事を日記のように書き留めてきましたが、正直、目新しい出来事もない毎年毎年の繰り返しの内容になったりもして、まあ、そろそろみなさんも(自分も?)飽きてきたんではないかと。

なら、いっそ、リアルタイムで最近の事件(いまや水戸農園名物)などボチボチ書いていこうと思いますので、ご了承いただければ幸いです。


2015年 8月~9月
8月某日、今年も順調な生育で出穂し始めた頃、猛暑の中、熱中症になりかけながら相も変わらず田んぼの畦の草刈りに精を出しておりました。

062_01.jpg稲穂が出始めた8月上旬。草刈開始!

田んぼの草刈りといえば肩掛け(仮払機)です。
この機械はストラップを左肩から掛け、右脇に機械の本体を抱えた状態で、右から左、右から左、とリズムよく刈り刄を振って草を刈っていくシステムです。さらにレベルが上がると、右へ返しながらも効率良く草を刈りつつ、左に振ったときに刈られた草が全て左に倒れるというテクニックもあるのですが。

062_02.jpg必殺!肩掛け1号。

その日も、右から左、右から左・・・を繰り返しながら草を刈っていると、突然、自分の右前からニョロニョロとした生き物が飛び出してきたのが視界に入りました。

ニョロニョロ?・・・そうです。天敵、ヘビです。
みなさまご存知の通り、残念ですが、私、ヘビ大っ嫌いです。

そのニョロニョロが突然目の前に、しかも、よりによって自分の進行方向へ飛び出してきたわけで「ギョギョギョ!」とサカナ君ばりにびっくりし過ぎて、反射的に後ろへ飛び跳ねる余裕もなく「右から左」を止めることができず・・・事故発生です。

きっとヘビの方にも悪気はなく、草の中にマッタリとしていたところに、突然爆音とともに円板状の刃から隠れている草をなぎ倒された状況だと思われるわけですが、それにびっくりして飛び出したりするから、出会い頭というか、不幸な事故に繋がってしまったのです。

・・・ヘビ、・・・切れました。

右から左へ振り下ろされた草刈機の刃に真っ二つ、さらに高レベルのテクニックが仇となり、左から右へ返す刀でまた真っ二つ。結果、上半身、腹部、下半身と三分割。

また、運の悪いことに、その日、草刈機の刃を新品に交換したばかりのことだったため、見事にスパッと切断され、それはまるでキュウリの漬物みたい。

062_03.jpg画像はイメージです。(残念ですが、あまりのグロさに、実物は掲載できません。)

それでも生命力の強いアイツは、上半身だけの姿で水路の方へと逃げて行きました。残された約5センチ位の円筒状の腹部と、ほぼ尻尾だけの下半身は、さすがに単独で逃げることはできず、その場でウニョウニョとしばらく動き回り・・・ホラーです。

いかに大っ嫌いでも、狙って殺生などするはずもなく、ていうか、いくら草刈機という武器をもってしても意図してヘビに挑むなんて勇気はあるはずもなく、本当に偶発的な事故なんです。シマヘビのご冥福を心より祈ります。


そして、田んぼも黄金色に輝き出し、稲刈りの季節が近づいてきました。

062_06.jpg9月中旬、もうすぐ稲刈り!

9月某日、週末の深夜、遠くでサイレンの音がけたたましく鳴り響いていました。
どこかで火事のようです。その音から察するに、自宅の近くでもないし、でもそう遠い場所でもなさそうだし。なんて、のんきに思っていました。

そんなとき、突然、携帯に電話が。
地元の消防団で活動している知り合いからでした。

「お前の畑が火事だぞ!」

「はあ???」

と、まったく思いもかけない連絡が。
その場所は、確かにウチのラフランス園のようでした。
畑が火事って?ラフランスの木が燃えてるのか??

よく聞くと、2年前にラフランスの木を半分伐採して、今は野菜畑として叔父が管理している畑の農機具を収納していたビニールハウスのようです。

またもや大事件の発生です。
とにかく、関係者を呼び出し、畑の所有者として自分も現場に駆けつけました。

夜10時ごろ、現場に到着してみると・・・ビニールハウス、全焼。。

062_05.jpgはい・・・全焼・・・

ビニールハウスですから、火が出たらあっという間に燃え広がり、ハウスの中には燃えやすいワラだの肥料だの薪だのがたっぷり置いてあり、しかも耕運機などの機械と一緒に燃料の軽油も置いてあったため、火の勢いはすさまじく、遠くから見ても畑の真ん中に火柱が上がっているほどの大参事だったそうです。

062_04.jpg翌日の消防署の現場検証。

幸いにも、周囲は1km四方に住宅もない果樹園地帯の真ん中だったため、けが人もなく周囲の畑にもほぼ被害はなく、最小限の損害ですみました。

翌日、消防署と警察の要請で現場検証に立ち会いました。普段火の気のないハウスでの火災なので、不審火として警察の鑑識まで来て調べてくれましたが、結局原因不明。

何者かによる放火の可能性も指摘されましたが、前の道路から通りがかりにタバコのポイ捨てでビニールに引火する可能性もあるし、やはり原因はわかりませんでした。

とにかく、ハウス所有者の叔父はガックリと落ち込んでるし、消防関係から警察関係まで大勢の方にご迷惑をかけるし、自分としてもビックリな出来事ではありました。

でも、叔父さん、ハウスなんてまた建てれば済むことだ。
この際、新しい機械も買って、また元気に野菜作ってな!

って、自分にも言い聞かせたのでした。


つづく

このブログについて

山形R不動産仲介担当の水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?

著者紹介

水戸靖宏(千歳不動産株式会社常務取締役)
山形R不動産における不動産仲介業務担当