第11話 住む人達の引越しが始まった。
当初の4月1日にオープンという予定通り、工事は進み、3月末から続々と引越しの準備が始まった。ペンキ塗りを完成より少し早めに切り上げ、それから一週間ぐらいはみんな元々住んでいたアパートの手続きやら引越し準備に追われていた。私達にとっては本当にあっという間の春休みだった。
その間にも工事は行われ、廊下やキッチンに床が張られビニールシートが取り外されていった。シートが取り外され家具などが入ってくると不思議なもので、より一層素敵な空間となっていった。

左:改装前 右:改装後
各部屋へと繋がる廊下は白く塗られ、床には木目調のビニールが張られた。

玄関や各部屋の鍵も各個人に配られ、一人一人が自分の居場所を作っていく。

左:改装前 右:改装後
ここはKちゃんの部屋。細かいところの最後の仕上げを行っている様子。和室だった場所がまるで最初から洋室だったんじゃないかというくらい爽やかな部屋となり、ペンキで白く塗るだけでこんなにも変わるんだと皆が驚いた。そして、以前より明るくなり、心なしか広くも感じる。部屋のペンキを塗りながらみんな自分の部屋をどのようにしていくかという妄想で頭がいっぱいだった。

左:改装前 右:改装後
Aくんの部屋。お洒落な照明が取り付けられ自分の空間が作られていく。

左:改装前 右:改装後
こちらは共有リビング。薄暗く寂しかったリビングが楽しい会話が飛び交う明るい賑やかな場となった。
まだまだ引越しは始まったばかり。
これからどんどん住む人たちの手によって様々な空間がつくられていくことだろう。この先どんな空間ができあがっていくのかとても楽しみである。

山形R不動産草創期、2009年から2013年にかけて、当時の東北芸術工科大学の学生たちが山形市内の空き物件を探し、実際に再生していったプロジェクトダイアリー

黒田良太
鈴木芽久美
山本将史
工藤裕太
佐藤英人
石母田 諭