第22話 Start me up
2012年 4月中旬
みなさま、・・・前21話、誠にお見苦しい画像を、申し訳ありませんでした。
・・・もう、しません。
春です。
もう融けないんじゃないか?
と思うほどの大雪も、季節がくればちゃんと融けるもんです。

4月上旬、雪融け直後のサクランボ園。まだ剪定の途中でした。
昨年12月下旬から毎週土日+α 、延べ40日に及ぶ長い時間を費やした剪定作業も、4月14日、ようやく完了しました。(プロからみれば、まだまだ不足でしょうけど・・・)
そして、大雪の影響で折れてしまったリンゴの木。完全に幹から離れてしまった枝は切り落とし、表皮が繋がっている枝は、そーっと大事に持ち上げて、支柱で固定しました。
これが

Before 雪害でこんなになってしまった「ふじ」の木。
こうなりました。

After 半分の枝は諦め、残り半分を持ち上げました。
リンゴは幹の表皮に近い部分から養分を吸い上げるので、表皮が繋がっていれば生き残ることがままあるのだそうです。
どうかな。
このままうまく生きてくれればいいけど。。。
剪定が終わると、剪定した樹の切り口に「癒合剤」という薬を塗布しなければなりません。

「癒合剤」の定番、トップジンMペースト と バッチレート。
剪定した後の切り口といっても、細かな枝や先刈りした枝など、りんご、サクランボ、ラフランスと全て数えたら数百、いや、数千箇所にもなるはず。
「癒合剤」は「切り口からの雑菌の侵入を防ぎ病害の感染を防ぐ」という目的なので、本当は全ての切り口に塗布するのが理想的でしょうが、とても全部は不可能です。
なので、枝の直径3cm以上の切り口に絞り、比較的小さい切り口にはチューブ入りの「トップジンM」、大き目の切り口には「バッチレート」を刷毛塗りしています。

トップジンMペーストを塗った切り口。肌色系の皮膜です。

濃い黄緑の皮膜になるバッチレート。これで病害予防はバッチリーっと。
雪が融けて動きやすくはなっていても、全ての園地の全ての木を回る塗布作業。
これもなかなか甘くない。想像以上の時間と労力を要します。
剪定が終わってまだ1週間、またまた休日のたびに数日間、癒合剤の塗布をしている間に、気温も上がってきて、一斉に果樹が芽吹きはじめました。
剪定していたときに見ていた小さな花芽が見る見る膨らんで、もう開花も間近です。

4月21日現在のリンゴの花芽。ふきのとうのような一つ一つが花芽。

サクランボ。米粒のような花芽。

ラフランス。キャベツの赤ちゃんのような花芽。
リンゴ、ラフランスは、芽吹いてくると一つ一つの花芽が、フキノトウのようなキャベツの赤ちゃんのような、葉っぱが結球したような形(結球:キャベツや白菜のような丸くなる野菜の現象)をしていて、一つの花芽から約5~6個の花が咲き、それらが全て果実となります。
また、サクランボは米粒のような一つ一つの花芽が7~8個集まっていて、一つの花芽から約3個の花が花束状(花芽8個×3個=24個の花)に咲き、それが全て果実となります。
初めて自分が剪定を手がけた果樹たち。
・・・何とも言いがたい愛おしさです。
さ~て、これから本格的な農作業のシーズンが始まります!
つづく

山形R不動産メンバーの水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?

水戸靖宏(山形R不動産/千歳不動産・マルアール代表)
山形R不動産の代表であり、千歳不動産株式会社の代表取締役、そして株式会社マルアールの代表も務め、さらに現役の兼業農家として、ラ・フランスやさくらんぼを栽培。