2012.11.5

第33話 Bohemian Rhapsody

水戸靖宏(千歳不動産株式会社)
 

2012年 10月中旬
台風の後、しばらくグズついた天気がようやく回復し、爽やかな秋晴れの季節がきました。

気持ちいい秋晴れの朝。テンションも上がります!

さあ、来ました!

実りの秋。収穫の秋。水戸農園の大収穫祭です!

いよいよ稲刈りです!

雨降りが数日続き、昨年よりも5日ほど遅れましたが、今年も無事に稲刈りを迎えました。

4月の種まきから田植え(第25話参照)、田んぼの水管理や草刈り(第28話参照)といった半年間の作業をなんとか自分でこなし、稲刈りは地元のコンバイン組合という法人に委託してやってもらいました。

10月8日、稲刈り完了です!

それにしても、近隣の田んぼをほとんど一手に請負うコンバイン組合の稲刈りスピードが、早えー早えー。

ウチの田んぼ(約40アール)を2台のコンバインで両端からガンガン刈っていき、ほんの2時間くらいで完了。写真をとる暇もありませんでした。

そして二日後、早くも自宅に新米が届きました。コンバインで刈取ったあと、すぐに乾燥機にかけて新米の完成!(これも委託で。自分ではできませんから。)

今年の新米、完成です!

「保有米」と書かれた袋(30kg)に入って、自宅で食べるための「飯米」が70袋(35俵)。もちろん、1年間にウチだけでそんなに食うはずありません。ウチと親戚4家族分です。

そして収穫した飯米以外の新米はJAへ出荷。
今年の出来は、合計で昨年よりも1俵減収となりました。
暑すぎたからでしょうか?

それとも、田植えや除草などの管理が悪かったから?

・・・まあ、暑すぎたっていうことで。。

そして収穫祭第二弾!
あの台風17号から辛くも逃れ、今年も無事に育ったラ・フランスの収穫です!!

10月19日、朝焼けをバックにラ・フランス収穫開始!

ラ・フランスは追熟が必要な果物で、収穫後、一定期間置くことで甘さを増したり果肉を柔らかくしたりして、より美味しい状態で販売されます。(第13話参照

ラ・フランスの生産量日本一を誇る JAてんどうでは、予冷、追熟を効率的に行い一斉に出荷販売するために、生産者に一斉に収穫を促し「予冷受け入れ期間」を設定します。今年の受け入れ期間は、10月16日~25日までの10日間。やはり、干ばつの影響か、果実の成長の遅れがみられ、昨年よりも収穫時期が3日ほど遅くなったようです。

ラ・フランス、朝日を浴びて輝いてます!

朝から晩まで、収穫→選果→JAへ出荷、収穫→選果→JAへ出荷・・・を繰り返し。

抜けるような秋空の下、収穫作業は気持ちいいー!

一度に40ケース(約800kg)をトラックに積んでJAフルーツセンターへ。
一日に3~4回(120~160ケース)の出荷、全て手作業での積み下ろし。
体はかなりキツイ。3日目あたりから腰が悲鳴を上げていました。・・・年かな?

出荷は農作業のクライマックス。うれしい作業です!

今年は延べ4日間の収穫作業で、合計約500ケース(約10トン)出荷しました。
これも昨年より1トンほど減収・・・。

やはり、高温と干ばつの影響があったのでしょうか。。

どう足掻いても兼業農家です。本業の会社勤めの傍ら、基本的には土日の休日と平日の朝仕事のみ、昨年のように週休5日なんて迷惑をかけずに農業もこなすことを目標に、収穫時期だけ休暇をとって今年はここまでやってきました。

昨年父が亡くなってからの1年間、秋の施肥、冬の剪定、春以降の摘果や防除、草刈りなど、今年の収穫のために必要な全ての作業を自分一人で、・・・と言いたいところですが、母と二人でなんとか最低限の管理をしてきた、というのが実情。

というか、現実的には、春から夏にかけ繰り返し何度も手をかけなければならない摘果作業は、ほぼ母に頼るところが多く、母へも相当の負担をかけてしまいました。

会社に迷惑かけずに・・・とはいうものの、昨年ほどでなくとも、サクランボで3週間、ラ・フランスで1週間、このあともリンゴで○○日間、と収穫時期には会社を離れるため、結局は会社へも社員へも多大な迷惑をかけていることも間違いありません。

その年ごと、天候や樹木の状態や手入れの良否など、さまざまな要因で収量の増減があるのは農業の特性でもあり仕方ない部分もありますが、果樹の栽培技術も知識もない素人であるために、具体的な原因も対策も何もわからない・・・。

考えれば残念なことばかり。
農業を真剣に取り組めば取り組むほど、自信がなくなってきた気がします。

やっぱり周囲に言われたとおり、二束の草鞋は無理なのか?

・・・兼業農家、どこまで続けられるのでしょう?


つづく

このブログについて
 

山形R不動産メンバーの水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?


著者紹介
 

水戸靖宏(山形R不動産/千歳不動産・マルアール代表)
山形R不動産の代表であり、千歳不動産株式会社の代表取締役、そして株式会社マルアールの代表も務め、さらに現役の兼業農家として、ラ・フランスやさくらんぼを栽培。

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