第2話 Born to be wild

(このコラムはしばらくの間、過去振り返り形式でお届けします)

6月某日
山形R不動産の仲介担当 兼業農家の水戸です。
農業を営んでいた父が急逝し、その息子である私が不動産屋でありながら急遽、兼業農家としてやっていかなければいけなくなった下りは前回ご説明したかと思いますが、さてその後。
ええ。まだ何とかやってますよ。農業。

~早朝、まだ明けきらぬうちに 目を覚ます。
今日も アイツがオレを待っているから。
流れるような流線型の 真っ赤なボディのアイツ。
オレは眠い目をこすりながら、レーシングスーツに身を包み
アイツのオープンのコックピットに乗り込む。
さあ、いこうぜ。朝焼けのハイウェイへ。
そうさ。オレタチは 暁の赤い彗星になるのさ。
Oh! Born to be wild 〜

002_01.jpg早朝5:00 まだ明けきらぬ農園。もうすぐ日の出です。

・・・・・。

のっけからテンション高くてすみません(笑) ですが、早朝5時から始まる作業、無理にでも自分を上げていかないと、やっていけないもので。

(ちなみに、レーシングスーツというのはカッパ、真っ赤なアイツとは消毒作業を行うための営農マシーン、ハイウェイというのは農道のことです。。)

今日は ラフランスの消毒。

002_02.jpg営農マシーン1号。真っ赤なオープンカーのアイツ 「SS」(スピードスプレヤーといいます)かなりイケてる?

通称「消毒」って言っていますが、正確には農薬の防除散布です。実は、私の記念すべき「農業跡継デビュー戦」はこれ。父の死後4日目、葬儀の翌々日でした。
前回も書きましたが、自然は、待ってはくれません。果樹の防除は決まった時期に必ず行わなければなりません。ウチでは農薬は自家調合せず地元農薬調合組合に所属して、JAの防除暦に従い近隣の農家との一斉散布をしているため、父の死を悲しんでいる暇などなく、決められた計画の通り、自動的にデビュー戦は「消毒」になってしまいました。

「消毒」は一斉散布ですので、毎回朝5時から農薬分譲と決められています。消毒の日は早朝から調合所前のハイウェイ(くどいようですが農道)に、真っ赤なマシーンたちが大集合。朝、家の倉庫からマシーンに乗り込み、調合所に向かって一般道から農道に入っていくと、あちらこちらから真っ赤なオープンカーが出てきて、前を走り後ろを走りします。ちょっとおもしろい光景です。

002_03.jpg農薬調合所前。こんな感じで 真っ赤なイモムシたちが大集合。かわいいでしょ?(SSはなぜか、どのメーカーのも赤い)

開花期以降、結実して果実が成長する夏期までは、サクランボ、リンゴ、ラフランスなど種類ごと、ほぼ週1回のペースで「消毒」を行います。
布団から抜け出し家を出るまでは「休み明けに会社へ出勤する」×10倍くらい憂鬱なんですが、調合所で朝から明るい農家仲間のみなさんと顔を合わせ挨拶すると、みんな優しくてとってもあったかい。「自分だけじゃない」って思えてきて、自己中心的な悲壮感を吹き飛ばしてくれます。
あれっ? なんかいい感じ。こんな毎日も悪くないかも。

002_04.jpgそして夜明けとともに一斉に消毒開始! 太陽が昇れば消毒の中に 「虹」を見せてくれます。

〔農業ひとくちメモ〕 農薬について・・・農薬っていうと、なんか「毒」っぽいイメージで、有機栽培じゃないのか! って思われる方もいるでしょうが、周囲が全部果樹園になっているような大規模農業地域では、現実的には有機栽培なんてありえません。自分だけが無農薬で有機栽培しようとしても、果樹の病気や害虫を発生させる原因になって周囲には迷惑なだけ。ただ、今の農薬は昔と違って厳しい安全基準に沿って製造、使用されていますので、食べたら健康に影響を及ぼすようなものはほとんどありません。水戸農園の果物ファンの方、ご安心下さい。


ここで突然ですが、緊急告知。

「果樹園貸します! リンゴ生産者大募集!!」

002_05.jpg 「賃貸リンゴ園」 所在:山形県天童市/面積:約60a/品種:ふじ、昂林/賃料:応談 (詳細はお問合せ下さい)

やはり、兼業農家の私には専業だった父と同じ面積ではとても無理。ということで、当家のリンゴ園の約半分を作っていただける農家の方を募集しています。(農地法その他の規制により、誰でもOK というわけにはいかないようです。)春~現在までの管理はできています。10月から11月にはさっそく収穫できますので、今年の分はかなりお得です。詳しくは「水戸農園」までお問い合わせください。

水戸農園への問い合わせはこちら
※件名に「水戸農園について」とご記入をお願い致します。

このブログについて

山形R不動産仲介担当の水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?

著者紹介

水戸靖宏(千歳不動産株式会社常務取締役)
山形R不動産における不動産仲介業務担当