第25話 Carnival

2012年 5月中旬
晴天が続き、すっかり初夏の日差しを感じる季節。
早朝からオープンカーで出動しても、もう寒さは感じません。

そうです。ご存知、SS(スピードスプレヤー)で、今日はラフランスの消毒。
今シーズンに入り、すでに3回目の防除です。

025_01.jpg 消毒、もちろん今年もやってますよ。4月中は、まだまだ早朝にオープンカーは寒かった。。
この時期、満開の花びらを散らしながらの消毒です。
025_02.jpg 桜吹雪ならぬ、ラフランス吹雪の中での作業後。SSには「遠山の金さん」なみの花びらが。
そんな「花」の季節は、あっという間に過ぎ、5月も中旬。
4月に種まきをした苗代では、苗がすくすく育っていました。
025_03.jpg 我が家の苗代。4月22日、20kgの種籾を育苗箱(120箱)にまきました。
一般に、田植機で田植えするための苗を育てるには、育苗箱(幅約30 cm、長さ約60 cm、厚さ約3 cm)という浅い盆状の箱に床土を入れ、その上に種を蒔き更にその上に薄く覆土をし発芽させ、ビニールハウスで温度管理をして草丈10 cm前後まで育てます。(「米づくり(稲作)」の工程はこちら → 11話参照
025_04.jpg 5月16日現在の苗。無事にすくすく育って、もう10 cm以上。田植えを待っています。
種まきをしてからというもの、一日も欠かさずに水をまき、発芽後はビニールハウスの温度管理のために、暑い日はビニールを開けて空気を入れ替え、寒い日はビニールの上に更に被服シートをかけ、その日の天候次第で一日に何度もそれを繰り返す・・・。

という大変な管理作業を、毎日母がやってくれました。


苗代の管理も、経験と知識が必要な大切で難しい作業。
高温時に放っておくと苗が焼けて葉が黄色くなり弱ってしまったり、低温で寒過ぎると発芽しなかったり、プロの農家でも管理に失敗して苗が全滅することもあるのです。

さすが母。立派な苗に育ててくれました。

・・・なんで自分でやらないのか、って?
・・・私も一応会社員でもある訳で、日中は家にいませんから。。。

025_05.jpg 水がいっぱい張られた田んぼ。湖みたい。
そして、田んぼには水が張られ、代掻きも終わりましたので、次は「田植え」です。
田植えとくれば、また初登場!営農マシーン「田植機1号」だ!!
025_07.jpg 田植機1号。
クボタSPJ450(乗用4条田植機、モンロー(自動水平)、パワステ、4WD)
(農業豆知識 ※モンローって?・・・もちろん、あのマリリンではありません。田植機にマリリンが付いてたら仕事になりません。正式には油圧式自動水平調節機構(モンローマチック)といい、うね高さを検知し、わずかな段差に合わせて、機体を油圧で自動的に昇降制御し、常に一定の深さで植付けできるという機能。トラクターなどにも使われている装置。)
025_15.jpg これがモンロー。
一説によると、セクシーに歩く「モンローウォーク」がその名前の由来らしいです。
025_08.jpg 憧れの乗用田植機です。
どうですか!この軽量ボディ。・・・かっこいい。

でも、なんと、田植機1号、実は借り物なんです。。。とほほ。
田植機に関しても、トラクター同様( 23話参照)、なんだかんだありまして。

それにしても高性能乗用田植機、「快適」の一言です。
以前は歩行型という田植機が一般的で、機械を操作して泥の中を歩かなければなりませんでした。それが今や泥の中を歩く必要はなく運転するだけ。乗用田植機、最高です。

025_09.jpg 快適な機械のおかげで順調に植付けが進みます。

025_10.jpg 調子にのってガンガン植付けた結果、ちょっと曲ってます。
ちょっとの曲りなど気にせず順調に植付けが進み、約40アールのウチの田んぼは半日も
かからずに「田植え」終了。

父と一緒に田植えしていた頃は、植付けの列がちょっとでも曲ったりすると「みっともない」と怒られたものでした。「ゆっくりでいいから丁寧に真っ直ぐ植えろ」と。
プロ中のプロである専業農家には、田植の後の見た目にもこだわりがあったのです。

・・・でもオレ、兼業農家だし・・・。
と言い訳しつつ、知らず知らずに「曲ってもいいから早く」を選択した自分がちょっと残念。

025_12.jpg 今年の「田植え」完了です!

025_14.jpg ビニールハウスの窮屈な苗代から、広い水田に植えられた稚苗。
何はともあれ、今年も田植えが完了。
苗たちも、そよそよと風にそよいで気持ちよさそうです。

秋の刈取りまでは、約4ヶ月。
管理に手を抜かず、今年もいい稲を育てなくっちゃ。

つづく

このブログについて

山形R不動産仲介担当の水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?

著者紹介

水戸靖宏(千歳不動産株式会社常務取締役)
山形R不動産における不動産仲介業務担当