第53話 White Riot
2013年 12月
早かった初雪もすぐに消えて、畑は冬支度。

12月7日、サクランボの樹も冬支度。
サクランボ園は緑と黄色の鮮やかなグラデーション。

サクランボの葉が黄色く色づいてきました。
これから始まる厳しい冬を忘れさせてくれるような、美しいコントラストに癒されます。

落葉も始まりました。
園地は一面、きれいな葉っぱの絨毯のようです。
葉っぱの絨毯を踏みしめながら、園地に残ったコンテナを片づけたり、枝折れが心配な古木の大枝に支柱をかけたり、降雪前の冬支度に追われていると、もう、来ました。
雪です。

12月14日、一気に15~20cm位の積雪。
その後も雪は消えることなく降ったり止んだりを繰り返し、年末の本格的な降雪で40~50cm(自分基準)まで積雪が増えていました。
12月はまだ気温が高めなため湿気を含んだ重い雪で、周囲の園地では枝折れが出ているとの情報が。
これはヤバイ!大事な樹を雪害から守るのだ!!
まだ12月だというのに、早くも果樹の雪下ろしに出動です。

12月29日、雪下ろし出動!道なき道をトラックで爆走。
まだ誰も足を踏み入れていない、当然除雪されてない農道を、雪を掻き分けながらトラックで爆走、古木の大枝が多く一番心配なリンゴ園までなんとかたどり着きました。

スコップで雪を掘って駐車スペースを確保。
あれ?なんか去年も同じようなネタ書いてたなー。
ってか、まあ、これはほぼ毎年の季節の風物詩的な作業なのです。
(でも去年は1月でした。昨年の雪との闘いはこちら→第40話参照)

昔ながらの雪国の知恵「カンジキ」。
そして、雪の中を歩くための秘密兵器「カンジーキー」を長靴に装着!
なんか、モビルスーツに「○○○アーマー」装着!って感じ。(か?)

スノーモンスターと化したリンゴの樹。
いざ!スノーモンスターとの闘い、雪下ろしの開始です!

雪下ろし後のリンゴの樹。
いかにカンジキを履こうが、積雪50cmの雪を踏み越えてアルミの雪ベラを振り回し一本一本の樹を丁寧に雪下ろしするのは容易ではありません。
闘うこと半日、ようやくリンゴ園を一通り周って雪下ろしも終盤にさしかかったころには、心身ともにクタクタに疲れ果て、もう一歩も前に進めなくなりました。
・・・もう、・・・このまま、眠ってしまうのか・・・?
ああ、まさに疲れ果てた戦士。・・・マドンナたちのララバイ。
そんな時、雪を下したリンゴの樹の上に、奇跡が。

捥ぎ残しのリンゴ発見!
枝の雪を払ってみると、現れたのは瀕死のヒーローを救う神の贈り物(捥ぎ残しのリンゴ)。

まさに完熟の蜜入リンゴ。
「みず・・・、水を・・・、水をくれ・・・」という極限状態で、目の前に現れた奇跡に、我を忘れてかぶりついてみると、キンキンに冷えた完熟の蜜入リンゴは、渇きを潤す最高の味でした。
↑ コレはだいぶフィクションですが、まあ、楽ではない仕事ですから逆に楽しまないと、ね?
といった感じで、例年よりちょっと早い年末に樹の雪下ろしも無事完了。
心配された枝折れは、最小限に止めることができました。
・・・・・・・・・・
そして、重要な冬の仕事といえば「剪定」。
年末から「剪定作業」も始めつつ、2013年が終わりました。
そんなわけで、相変わらず大した成長もないまま、4年目のシーズンに突入であります。
つづく

山形R不動産メンバーの水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?

水戸靖宏(山形R不動産/千歳不動産・マルアール代表)
山形R不動産の代表であり、千歳不動産株式会社の代表取締役、そして株式会社マルアールの代表も務め、さらに現役の兼業農家として、ラ・フランスやさくらんぼを栽培。