2014.9.8

第57話 Soul Man

水戸靖宏(千歳不動産株式会社)
 

いやーーー、まいったなーーー。

ここにきて、水戸農園が世界的な注目を浴びちゃう?!

なんと、あの Google さんに掲載されました!!!

・・・まあ、・・・正確には、・・・掲載っていうか、・・・盗撮?

実は、ストリートビューで何気なく自分ちの園地周辺を眺めてたら、・・・ん??

Google ストリートビューでウチのラ・フランス園を発見。

あれ?トラクター写ってる。・・・オレか?

ズーム、ズーム!・・・オレだ!

というわけで、撮影日が2012年10月と表示されているので、2年前、作業量の軽減のためにラ・フランスを半分切り倒し、更地になった畑を野菜畑にするためトラクターで耕していた時に、あのGoogleさんから激写されていたようです。

この作業は、父が植えたラ・フランスを泣く泣く切った苦い記憶として鮮明に覚えており、もちろんこのブログにも書いた話で、まさにそのワンシーン。
(2年前のブログはこちら→第34話第35話参照)

自分の兼業農家生活の中でも割と重要でドラマチックなシーンが、世界中で見られるGoogle上に残ってるって考えると、ちょっと嬉しい気がします。

それにしても、さすが世界のGoogle、周りに建物など全くない果樹園地帯のど真ん中の農道までストリートビューしちゃうんですね。

水戸農園のラ・フランス園はこちら → Googleストリートビュー


さて、本題。話は6月に遡ります。

2014年 6月
水戸農園の一番ハードな季節がやってきました。

何がって?・・・6月はサクランボに決まってます!

まず申し上げたいのは、今年も、3週間、会社休みました!!

・・・なんつって、偉そうに言えた話ではないんですが。。

またまた今年も、会社と社員の皆さんに多大な迷惑をかけサクランボを終えました。

作業は毎年ほぼ同じパターン。
果実が薄っすらと色づき始めた頃、雨除けハウスのビニール張りから始まります。

6月1日、風のない早朝から、ビニール張り開始!

サクランボはデリケートな果物で、果実の肥大期に雨があたると実割れして売り物にならなくなってしまうので、雨から守るためにテントを張らなきゃなりません。

天気が良ければ気持ちいいけど、命がけの高所作業。

最盛期のおおよそ3週間前、土日を利用して家族総出でハウス13棟のビニール張りと、周囲の防鳥ネット張り。毎回の心配事ですが、なんとか今年も事故なく完了。

ウチで一番広い園地は、50mハウスの5連棟。

ビニールを張り終えると、早生種の「紅さやか」が色づいてきて、早くも初収穫、初出荷です。

6月7日、紅さやか初出荷。

「紅さやか」は主力品種「佐藤錦」の受粉樹として数本植えてあるのですが、着色が早く、サクランボシーズンの開始を告げるように6月初旬にはもう出荷できます。
味は佐藤錦には負けますが、シーズン序盤で高値販売が期待できる優良品種です。

ちなみに、同じ時期の佐藤錦はまだこんなに青い。

そして最盛期までの間、反射シート敷き、葉っぱ取りなどの着色管理をしながら、時々エンジンポンプで樹の根っこ周りに潅水したりしています。
果実に雨が当たらないようにテントを張っておきながら、相手は植物なので、わざわざ水かけをしなきゃならないという、世話のかかる話です。

果実の日当たりをよくするため、こんなに葉っぱを落とします。

そして、いよいよ佐藤錦が色づいてきました。
最盛期突入!サクランボが終わるまで、もはや会社へは行けません。

6月14日、佐藤錦の収穫スタート!そして長期間のサクランボ休暇もスタート!!

ここからサクランボの収穫が全て終わるまで、家族とアルバイトの10名体制で、
朝4時から収穫 →選果、パック詰め →14時JAへ1回目の出荷 →18時宅急便で産直贈答品の発送 →20時JAへ2回目の出荷、という超ハードワークが毎日続きます。
(昨年の作業の様子はこちら→第48話参照)

出荷先、JAフルーツセンターでも毎日深夜まで全国への配送作業。ご苦労様でーす。

毎度ながら春以降、天候やら受粉やら数々の心配を乗り越え、今年も豊作です!

6月26日、佐藤錦の最盛期。

最盛期の完熟佐藤錦、今年も上々の出来となりました。

味自慢!水戸農園の佐藤錦、今年も美味しくできました。

そして一日の休みもないフル回転の日々を繰り返し、7月4日、収穫が終了。

間髪を入れずに、反射シートを剥がし、ハウスのビニールと防鳥ネットを外し、全てのサクランボ作業を終えたのが7月6日、やっぱり今年もきっちり3週間でした。

とにもかくにも、サクランボ 2014シーズン終了。。みなさん、お疲れさま!

終わればまた、反省。

会社の仕事への影響、家族の負担、兼業でこの作業量はあきらかに無理がある。

毎年同じことを反省し、悩み、3年経っても進歩なし。。

2011年のサクランボから兼業農家をスタートして4シーズン目、作業の効率化や生産量の調整を図ってなんとか2週間くらいで終わらせたいと挑んできましたが、結局またまた3週間。

生産量の調整といったって、枝を薄くしたり摘果を多めにしたりして着果量を減らす程度では、所詮たかが知れており、作業期間の短縮にはつながりませんでした。

やはり、ラ・フランスと同じようにサクランボの樹の本数自体を減らすことが、てっとり早く作業期間を短縮する方法には違いないんですが。。

そろそろ現実を受け入れて、きっちりと経営者としての判断が必要なようです。


つづく

このブログについて
 

山形R不動産メンバーの水戸靖宏が、ある日突然兼業農家になり、戸惑い、苦悩し、時折愚痴を言いながらも、楽しく農地と向き合っていくストーリー。後継者不足で増え続ける空き農地。山形R不動産では物件ばかりではなく、農地や農業も紹介してしまうのか!?


著者紹介
 

水戸靖宏(山形R不動産/千歳不動産・マルアール代表)
山形R不動産の代表であり、千歳不動産株式会社の代表取締役、そして株式会社マルアールの代表も務め、さらに現役の兼業農家として、ラ・フランスやさくらんぼを栽培。

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