さて、お待たせいたしました。先週に引き続き今週も私トモミが特選呉服「こまつ屋」の魅力についてお届けいたします。今週は誰もが期待を寄せる「反物編」です。先週はこまつ屋さんに取材をするきっかけとなった店内の内装についてとお店の奥様のご紹介となりました。今週は外から見ただけではわからない商品の魅力について紹介したいと思います。
お店が始まったのは戦後間もないころで、反物の多くは京都から仕入れられているそうです。しかし、一部には山形の染め物もあり、それが山岸幸一さんの染められた米沢織になります。米沢織とは自然の材料を用いて染める「草木染」が特徴の織物で、山岸さんはその米沢織を染織一貫生産されており、日本伝統工芸展や伝統工芸新作展で何度も入選や受賞をされたことのある方です。特に染めて色を定着させるのにはとても長い時間がかかり、それは年単位になることもあるそうです。実際にその織物を見せていただきましたが、やわらかさをおびたきれいな発色で、草木のもつ素朴さややさしさを感じさせながらも、しっかりとした色づきは自然のもつ不思議な潜在能力を感じさせるとても心惹かれる織物でした。
どのように色や柄を選んでいくのかと質問すると、その人の人柄を見たり、お客様がお持ちのものをみて、その色や形に合わせてセレクトしているということでした。たくさんの反物にひかれてお店に入ったわけですが、そこから選びとるということを考えると、私みたいにお気楽にきれいだなぁと見惚れているだけではダメなようですね。長いお付き合いをしていただけるお店のようです。
ブログを盛り上げなければ! というプレッシャーもあり、芸工大カラーがアオ色なのでアオ色の反物見せていただけませんか? と図々しくもリクエストをしてみてしまいました。すると重なった反物の下のほうから写真の反物を広げて見せてくださいました。
藍染の木綿です。木綿の素朴で自然な味わいを感じさせつつも、なぜか上品さの漂う一品のように思えます。今のアオ色もすごくきれいだけれど、これを着物に仕立てて長く着ていったとき今度は味わいのあるアオ色に変化していってくれるのではないでしょうか。少し想像してしまいました。
今回はなぜかスローな時間を考えさせられる取材でした。うっかりファーストへ流されて行きそうになっていましたが、多くのスローな魅力に出会えてとても意義のある取材となりました。ファーストもいいけどスローはもっといいな! そんな取材でした。
皆様、スローの魅力と出会いたいときはぜひ「こまつ屋」さんへ。
(写真・文 西田朋未)